つぶやき・・・ [ぶんぶん文芸]
写真2点で始まりました。上は、“桑の実” 下は“七覚川”・・・
前者は、七覚川のほとりでの撮影で、両方とも6月5日に中央市豊富地内で・・・
こんな写真が2つくれば、自然に次の歌がつぶやかれます。
桑の実が熟れてゐる
石が笑ってゐる
七覚川がつぶやいてゐる
これは放浪の歌人とされる山崎方代の歌です。
方代は大正3年、旧右左口村(甲府市右左口町)の農家で、
8人兄弟の末っ子として生まれました。最後の子として「生き放題、死に放題」と
そんな父の思いから方代と名づけられたそうです。
昭和18年、出征中に砲撃の影響を受け右目の視力を失い、
復員後は、放浪生活を続け、昭和60年に肺がんのため亡くなっています(71歳)。
素朴なぼくとつとした口語の作風で知られ、望郷の念や
恵まれない日常をテーマにしたなど多くの歌を残しています。
七覚川は、この写真の付近では、水が伏流し、
雨の後を除くと、石ころばかりの水無川になりますが、
最近では、富栄養化の傾向があって、夏場は草に覆われてしまうようです。
七覚川の遠くに写る山の稜線の低くなったところが右左口峠で
七覚川の源流はその付近になり、途中、方代の生誕地を通過し、
撮影地を経て、最後は笛吹川に合流します。
方代には、他に次のようなこれとよく似た歌も見られます。
不二が笑っている
石が笑っている
笛吹川がつぶやいている
[補記:画像データの再設定およびカテゴリ変更をおこないました 2023.11.9]