また、万年橋 [川と橋の文化誌]
北杜市須玉町内にあって須玉川に架かる万年橋です。
現在は、隣りに新万年橋が架けられていて、
もとの万年橋は、歩行者専用の橋となっています。
向かって左の黄色の欄干の橋が新万年橋で、
右手にやや下がって青っぽい欄干の方が、古い「万年橋」です。
万年橋の東詰上流側の親柱です。
東詰上流側から見た万年橋。
コンクリート造の上路アーチ橋です。
西詰め上流側から見た万年橋です。
この角度で一番手前となる親柱には、縦書きで「昭和七年竣工」の
プレートが埋め込まれています。
で、その傍らに、こうした説明板が設けられていました。
上部には、もっと古い段階の木橋としての万年橋の図があり、
下の説明文は、万年橋の歴史のあらましを伝えてくれています。
こちらが木橋の時代の万年橋の姿です。
解説文によると、かつて架橋技術が乏しかった頃には、
土橋だったこともあったようですが、何度も流され、
ついにこの図のように、両側からせり出す肘木のうえに橋桁をのせた
初代万年橋ができたのだそうです。
橋脚を持たないため、大雨の際の出水にも影響されず
これで万年でも持ちこたえることができる、との人々の喜びから
「万年橋」の名がうまれたとされています。
しかし、その万年橋も昭和になって、時代の変革の流れの中で、
コンクリート造の永久橋に架け替えられたのが、ここでの万年橋の歴史なのです。
で、こちらは新万年橋のプレートです。
欄干の親柱にではなく、こうした形式になっているのは、
古い万年橋に景観的に邪魔にならないよう
控えめにされたかと推測されます。
新万年橋は、鉄鋼桁を渡した上にコンクリート床盤を設けていますが、
こちらも橋脚を持たない構造のため、須玉川の流れに影響を及ぼさないとのことで、
新旧ふたつの橋が共存しているのだと思われます。
流れの中に橋脚を持つこととなると、以前紹介した新川に架かる万年橋のように
隣り合わせでも古いものは取り壊しとなるのが運命です。
ここの万年橋は歴史的にも古いもので、近代化遺産としての価値が認められ、
新旧の共存も可能な環境がつくり出されたのだといえそうです。
新万年橋も平成2年3月の竣工ですから、
再来年には、成人式を迎えるところまできていますね。
(撮影: 2008.1.14)