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古い堤防 [橋と川の文化誌]

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 甲府市域をほぼ南北に貫流する荒川を、このところ好んでよく散策してます。
写真は、千松橋から見た荒川(上流側)です。
今日の話題は、この荒川左岸、千松橋の少し上流に見られた堤防のことです。

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 甲府市千塚4丁目に当たりますが、そこにコンクリートを使わない
石積みの堤防護岸を見ました。
現在の工法では、石材を使ってもその裏ごめや隙間には、
必ずと言っていいくらいコンクリートを詰めます。
でも、ここのは、それがないのです。
なので、ちょっと昔の堤防なんだろうな、と思われたのです。

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 上とほぼ同じ場所ですが、左側がそうしたコンクリート・レスの護岸です。
で、右側は、おそらく後から地中堰堤を設置した関係なのでしょう。
石積みをやり直しているように見受けられますが、
こうした新しい石積みはコンクリートで固めてあるので、
見た目がより平板に見え、コンクリートの使用の有無の違いが分かります。

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 上の3点の写真は、コンクリート・レスの石積みを観察したところ、
割った石が結構あるな、ということを物語るものですが、
とくに赤い印で示したところは、「矢穴」とよばれ、
石を割るためのくさびを差し込んだ痕跡です。
この矢穴は、うんと昔は、手でノミを使って彫っていましたが、
ここでは、機械で彫ったものと観察されます。
なので、この堤防護岸は、う~んと昔ではなく、ちょっと昔だといえます。
何ともなく見がちな堤防にも、歴史があるのですね。
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