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おもんじさん [神社まいり]

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 先日(3/31)、市川三郷町の上野に鎮座する表門神社(うわとじんじゃ)を訪ねました。
通りに面した朱の鳥居の額にも、またその右側にある石の標柱にも
「表門神社」とありますが、タイトルがお文殊さんとは、
何か謎かけみたいですね。
石の標柱をよく見ると表門神社の名前の上に2行書きで
「市川文殊」と書かれています。
 この神社の歴史は古く、平安時代に成立した『延喜式』という書の
各国の神社の名前を書き上げた部分のうちの「甲斐国八代郡」の項に
その名が記載されているのだそうです。
 それで、平安時代の終わり頃、この表門神社の神官が京に上っていたとき
白河上皇の病気平癒の祈りが通じ、謝礼として社殿の造営と
「梵字之文殊画像」というものをいただいたのだそうです。
後にこの文殊さまに信仰が集まって、「市川文殊は知恵文殊」という
俗謡まで広まってきたそうで、いまでも文殊の知恵に預かって
学問の力が付くよう、例大祭に書道コンクールが続けられたりしています。
 まあ、長くなりましたが、そうした歴史を踏まえて、
タイトルは「お文殊さん」となりました。

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 先ほどの朱色の鳥居をくぐって進み、しばらくしていまの参道は、
左手に90度折れます。
そうすると随神門を見渡すこうした景観が現れます。
随神門の前に、参道を挟んで左右に、昭和10年(1935)に寄進された
狛犬がにらみをきかせています。

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 随神門をくぐると、その先、拝殿との間に
神楽殿が現れます。

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 こちらは、拝殿の西側脇から見た本殿です。

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 拝殿の東脇から神楽殿を見ました。
ここで地面に目をやると、散り始めた桜の花びらで
地面は桜色になっていました。
もう日暮れ間近でしたが、散った花びらが歴史ある風格に彩りを添えていました。

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 歴史があるといえば、この神社で有名なのは、この石鳥居です。
県内有数の古さの石の鳥居は、県指定文化財となっています。

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 傍らに設置されている説明板によれば、
鎌倉時代頃に作られたものなのだそうです。

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 満開の桜に惹かれてのお参りなのでしたが、
つらつらと歴史がある神社だと紹介しました。
最後に個人的な思い入れを一つご紹介しておきましょう。
 それは、境内のケヤキの大木に貼ったままになっていたこのポスターが
古い昔の記憶を呼び起こさせたこと。
まだ物心がつき始めたばかりのこと、今はもう他界している祖父に
手を引かれて、このポスターにある一の酉の祭典に行ったことがあったのです。
出店でにぎわっていたこと、神楽が上演されていたことなどが
ぼんやりとした断片的な記憶にあるのです。
それと、後になってよく叔父叔母などから聞かされたことですが、
聞き分けのない子で、出店に売られているものをいろいろとねだって
祖父を困らせたとのこと・・・
何とも切ないものがありますが、すべて遠い昔のことであります。

(2008.4.6記)

 この記事のタイトルについて、当初は「おもんじゅさん」としました。
しかし、このほど地元の方から違うというご指摘をいただきました。
私の記憶でも「おもんじさん」ではありましたが、
“市川文殊”の文殊という言葉につられて、つい「おもんじゅさん」と
してしまいました。
ここは、やはりご指摘に従いまして訂正をさせていただきます。
(2008.4.10記)