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あらためて送電線(今日の事故にふれながら) [送電線と鉄塔&発電所・変電所]

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 昨日(9/14)、甲斐市西八幡で見た、送電線と送電線鉄塔です。
画面中央の上方、縦に3本1組で、左右1対の送電線は、
東京電力の天竜南線という送電線です。
 左側手前の方に電柱が立ち、はっきりとして写っているのは、配電線です。
配電線は、変電所から一般家庭や工場などに、6,600ボルトで電力供給をするための幹線路で、
電柱の上などにある変圧器で、さらに100ないし200ボルトに落として
消費者に供給されることになります。
 一方、送電線は、さらに高い電圧で、ずっと長い距離を、発電所から変電所へ、
また変電所から次の変電所へと、大電力を送る役割を果たしています。
 送電線は、長い距離、三相交流という形の電気を伝えていく、大きな電線で、
3本が1組になります。
 この電線を支えるものの代表的な存在が、送電線鉄塔です。
送電線鉄鉄塔には、起点となる発電所や変電所などから順番に番号が付けられていて、
この写真の遠方に立っているのは、天竜南線の9号鉄塔であります。

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 少し場所を移動して、また送電線と送電線鉄塔を見ました。
黄色く色付いた水田や町並みの中を通り抜けているのは、
天竜南線だけではありませんでした。
 手前側の右手に大きく写っているのは、玉幡線の10号鉄塔です。
こちらは平成11年に立て替えられた、けっこう新しい鉄塔で、
中間に大きな張り出しがあったり、基礎部分に電線を、地中に通すためのチューブが
設置されていたりして、何かありそうな鉄塔でしたが、
周辺を細かく見たところ、すぐ近くに新たな変電所が計画されていて、
それを見越した鉄塔の形になっていることがわかりました。
 で、遠くに見えるのは、天竜南線で、
そちらの鉄塔は、天竜南線8号鉄塔です。
玉幡線10号鉄塔は、平成11年と新しいのに対し、天竜南線8号鉄塔の方はというと・・・

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 何と「昭和5年4月」の建造なんであります。
こんな古い鉄塔が市街地を通っていて大丈夫なのでしょうか。

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 同じ鉄塔の全景です。
昭和5年、すなわち1930年生まれというと、人間では、喜寿を過ぎたところ。
でも昨年も、天竜南線のこの付近の鉄塔群は、塗装の塗り替え作業が行われていましたし、
きっと大丈夫だろうと思われます。
 先ほどの写真のプレートの下辺に、高さが「41M」とあります。
おそらくこの数字は、昭和5年当初の数字で、その後、周辺の都市化の影響により、
数メートルのかさ上げが行われていることが、
この鉄塔の上方で、下から立ち上がる斜めの構造材が折れていることからわかります。
 こうした歴史的な鉄塔には、もっと先輩がいて、大正生まれの方までおられます。
今日は、折から(というのも変ですが)、「敬老の日」。
長い歴史の中で、重要な電力確保を下支えしている諸先輩に、
まだまだガンバッテいただきたいと思うしだいです。

 さて、タイトルに「今日の事故にふれながら」と銘打ってありますが、
その事故とは・・・。

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 NHK-TVのニュースなどで、短く報道されていましたが、
概要をまとめると、次のとおりです。

  9月15日、午前11時30分頃、福井県美浜町菅浜の山中でおきました。
  老朽化した送電線鉄塔の建て替え作業中に起きた人身事故です。
  突然鉄塔の上から8mほどが崩れ落ち、2人が死亡、2人が重傷となりました。
  送電線自体は、すぐ隣の仮設鉄塔に移設済みで、送電には影響ないとのことです。

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 この鉄塔は、1969年4月に建てられたものですが、
2005年の大雪の際に、雪の重みで大きなダメージを受けた履歴があり、
今後のことも心配しての立て替えということだったそうですが、
どうして、こんなことになってしまったのか・・・。

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 民放でもニュース番組の中で取り上げていました。
 ともかく、今回の事故は、美浜町の北部、日本海に面した美浜原発から
275000ボルトの高圧送電を担当する送電線で起きたものということで、
それなりにしっかり設計された鉄塔だったとは思いますが、
それを上回る自然の力があったことは、間違いないようです。

 このブログでは、これまで、送電線や送電線鉄塔の新設または保守などで
高所、高電圧といった危険と隣り合わせて仕事をされている方々のお仕事ぶりを
折に触れて紹介してきています。
それは、決して興味本位ではなく、いまの現代社会において不可欠の電気を
安定して供給するという現場の最前線の、重要なものと考えて拝見してきました。
 今回の事故で犠牲となられて方々に、心よりご冥福をお祈りします。
またあわせて、こうした事故が二度と起こらないことを祈りたいと思います。
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