初夏でも、“ねんが” [送電線と鉄塔&発電所・変電所]
前々回の記事「代かきと送電線」の中でもふれた、
甲信幹線の290号鉄塔です。
とんがり帽子のような鉄塔の頭の部分ですが、
「290」のヘリ巡視用プレートが付いています。
こちらが、東側直下から見上げた甲信幹線290号鉄塔の全身像です。
さて、このブログをご覧の皆さまにおかれましては、
送電線関係のことがとくにお好み・・・ということでなく、
いろいろなご関心をお持ちで、多くのご関心の1つとして、
送電線と送電線鉄塔もおつきあいくださっておられるかと・・・
親切丁寧をモットーとするエート・マンとして、
ここで、甲信幹線290号鉄塔のような、「撚架鉄塔」と呼ばれるものについて、
若干のご説明をば、申し上げます。
特別に作成したこの写真をご覧のとおり、鉄塔の左右で、
三相交流の各線の入れ替えをする機能を持った鉄塔は、
「撚架鉄塔」とか「捻架鉄塔」とか呼ばれております。
読み方は、ふつう「ねんがてっとう」とされているようです。
で、なぜこのような入れ替えが必要なのか。
それはですねぇ、とても難しいので、わかりやすくいえば、
一番上の送電線は、「えへん、おいら一番上やでぇー」
これに対して「くそ、おいら何でいつも下やねん」
真ん中、「何を、そんなことでもめてんねん。仲良うせなみっともないでぇ。
ほな、適当なとこで、入れ換えっこせぇへんか」
そんなんで、入れ替えてるのです。
きちんとしたことでは、送電線と大地との離隔の影響を平すだとか、
3つの位相の調整のためとか、専門的なことがあるようです。
なお、誤解のないように、もう1つ付け加えると、撚架の説明のためにつけた
矢印は便宜的なもので、必ずしも電気が
矢印の通りに流れているということではありません。
最後に、この290号鉄塔ですね、平成12年12月に立て替えをされているようです。
はじめからこの鉄塔が撚架だったかどうかは、わかりません。
推測ですが、はじめは30m前後の高さの初期型鉄塔で、
小淵沢インター周辺の最近の事情にあわせ、高さ50mで立て替えられてもので、
1つ西側の289号鉄塔は、高さ調整のためにかさ上げ工事が行われた、
そんな風に考えられます。
なお、甲信幹線の前後の鉄塔は、当初のものが多く、
前々回の288号鉄塔には、大正12年3月の表示がなされています。