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南都屋根瓦ざんまい(再び番外編) [見てきたよ]

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 春日大社でござります。
こちらは、檜皮葺。瓦屋根ではなかったですね。
古代には、「瓦もの」というとお寺を指すほど、寺院の屋根には瓦葺きが深くかかわります。
一方、神社や貴族の邸宅などでは、檜皮葺が主流となっていたようです。

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 春日大社の拝殿の前の参道の一隅に、今進められている式年造替のもようを伝える
説明板が設置されていました。春日の御社の神様は、ご本殿の造り替えのため、
いまは仮のお住まいにおわしますので、斜め左を向いてお参りするようにとの
注意看板が立っていましたが、それに気づかず真正面を向いて、二礼二拍手一拝して
しまいました。だめじゃん。

南都屋根瓦ざんまい(8) [見てきたよ]

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 東大寺・二月堂です。

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 寄棟造り、本瓦葺きの国宝建築です。隅棟のライン、とても美しいですね。
奈良時代からのお堂で、修二会の舞台として有名ですが、寛文7(1667)年の
修二会の折、失火で焼失してしまうという このお堂の宿命のような事件を経て
二年後の寛文9年に再建されています。とはいえ、奈良時代からの変遷のようすを
伝える建物として貴重なものとなっているのだそうです。

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 続けて三月堂です。三月堂は、正しくは法華堂というのだそうですが、こちらも
複雑な構造の建築です。それが屋根の形にも表れているようです。

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 三月堂の西面に見られる鬼瓦です。隅棟の鬼瓦なんだけど、どうも隅棟ではない。
こんなところに構造の複雑さがうかがえます。
 ひとつ前の写真も三月堂を西側から見たものですが、その向かって左側(北側)は
奈良時代の寄棟づくりの建築で、向かって右側(南側)の入母屋の屋根を持つ建物が
乗りかかるように接続しているのだそうで、乗りかかっている部分は鎌倉時代だそうです。
 ということで、こちらの写真の鬼瓦は、奈良時代の鬼瓦ということになります。
周りの軒丸瓦なども古代瓦の雰囲気を示しています。

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 三月堂を南側から見ました。屋根は入母屋の特徴を表しています。
ここでちょっと気になるものがありました。それは破風の下辺の左右の屋根に
ちょこっと何かが付いている、それはどんなものなのかということです。

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 向かって右側のものに焦点を当てました。いろいろと調べてみたところ、これは
妻降り棟というのがあって、小さな降り棟の先端に妻降り鬼とよばれる鬼瓦が
取り付いているものだということがわかりました。こうした妻降り棟が見られる建築は
あまり多くなく、三月堂の屋根の注目点の一つといえるのかもしれません。

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 二月堂、三月堂とくれば、やはり四月堂も登場してもらわなければなりません。
他のお堂に比べて、やや小ぶりですが裳階が付いた二重の寄棟造りの近世初期の
建築です。

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 このお堂は二重の屋根になっていますから、ありましたよ、あれが・・・。
「南都瓦屋根ざんまい(5)」でも確認している、置き瓦です。

 この四月堂は、別に三昧堂と呼ばれるそうです。今回の一連の屋根瓦のスケッチ
シリーズ「南都屋根瓦ざんまい」の「ざんまい」は、漢字で表せば「三昧」です。
ここで結びつくとはね、という感じですが、シリーズはまだ終わりません。
もう少しお付き合いください。

南都屋根瓦ざんまい(7) [見てきたよ]

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 前回の記事と同じ写真ではじまりました。でも今回は屋根瓦といっても
少し違う方向性で見ることになります。
まずは、門の左右に続く築地塀に目を向けていきます。とくに左側は塀の表面が
上塗りして仕上げられたままですが、右側ではちょっと雰囲気が違っています。

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 さて、その門の右側を切りだして見ました。
よくこねて調整した粘土で積み上げた築地塀の表面に、何かが並んでいます。
それは、屋根瓦の細かく割ったものを壁土の中に埋め込んだものです。

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 正面に見えてきた二月堂。この小径の両側は、見てのとおりの築地塀。
そのそこかしこに同じような瓦のかけらを練りこんだものが見られます。

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 きれいに並べられた瓦片は、もとは屋根に乗せられた瓦でした。幾星霜の後、
割れたり傷んだりして、新しいものに差し替えられ、屋根から降ろされたものかと。
それがこうして第二の道を歩んでいるのです。おや、あそこに軒平が・・・。
どれだかわかりますか。

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 はい、これがそうです。別なところでは軒丸瓦のかけらも観察されました。
長い歴史を伝えている南都ならではのものですね。

(あっ、上手なダジャレになりました)