SSブログ
橋と川の文化誌 ブログトップ
- | 次の10件

せいぎゅう [橋と川の文化誌]

070115seigyu02.jpg

 山梨市上石森の山梨市民体育館の南側を流れる重川。
その河川敷の公園の中に、一つだけ、聖牛が展示(?)されていました。
 聖牛は、ふつうには“せいぎゅう”といいますが、
“ひじりうし”と読まれることもあります。

070115seigyu01.jpg

 展示されている聖牛の傍らに説明板が二つ、立てられています。

070115seigyusetsumeiban01.jpg

 そもそも聖牛は、古くからの治水の技術体系の中に位置づけられた工作物で、
今回見るようなものは、とくに「中聖牛」であり、中くらいの規模の
一般的なものとして、その位置づけなどが解説されています。

 解説文の初めの方に、「武田信玄の・・・」という文字が見られ、
現在、NHK大河ドラマで、ブームが沸き立つ、山梨方面では、
今後、いろいろな場面で、登場してくるのかな、との思いも頭をかすめました。

070115seigyusetsumeiban02.jpg

 こちらは、中聖牛の詳細な解説です。
 こうした伝統的な河川管理技術について、国土交通省などでは、
近年、その実績と、現代的な評価の上で、重視すべきものとして、
各地で復元的に採用することが進められています。
 また、少し前のことですが、甲府河川国道事務所などで、
鉛筆と輪ゴムの組み合わせのようなもの(ちらっと見ただけの記憶ですみません)で
聖牛の構造を理解するセットをつくって配布したりもし、
そうした伝統的なものが再登場することの啓蒙なども行われていました。

 コンクリートを流し込んで、はい、できあがり、という効率一辺倒から、
少し手間がかかる(例えば、一定の太さの丸太を育て、切り出し、現場で組み上げ、
さらに手作業によりジャカゴを編んで、石を積め、重しとして・・・というように)
ことが、見直されてきていることは、持続可能な社会の実現のために
必要なことであるな、などと、飛躍的に思ったのでした。

                          (撮影:2007.1.15)

《追記》
 この記事は、ほとんど20日に書き上げたのですが、アップする直前に、
意識がおぼつかなくなって、そのまま消えて決まったものを再構築して、
20日の記事としてのせるものです。
nice!(0)  コメント(0) 

川に想う 5 [橋と川の文化誌]

070115kamoiderabashikaryu.jpg

 今回の川は、笛吹川の支流の重川です。
読みは、“おもがわ”(角川地名辞典19による)です。
この川は、大菩薩嶺(2059.9m)の山中に源を発し、
山梨市一丁田中付近で笛吹川に合流する、流長18.3kmの急流です。

 初めの写真は、鴨居寺橋から下流を見たところです。
左岸に親水公園が出来ていて、その西北隣には、山梨市民体育館があります。

070115kamoiderabashikaryusetsumeiban.jpg

 親水公園の一角に、「山梨市八景」の一つ『重川の夕照』についての
説明板が立っていました。例によって書きとめてみたいと思います。

   重川も日川もその水源は大菩薩山系であるが、二川とも笛吹川の支流で、   笛吹橋の近くでその本流に合流する。    重川の四季の情趣はまことに味わい深く、春はヒバリがさえずり、   夏は中州のアシの間にヨシキリが鳴き、秋には風にそよぐ穂芒と、川瀬に   あがる川霧、冬は流域一帯の雪景色と・・・そのうつろいに心を引かれる。    ことさら晩秋のころ、南アルプスをくれないに染める夕日が重川の川面に映えて、   橙、赤、金、銀・・・と、刻一刻に変貌するさまは、   まことに荘厳華麗で筆舌に尽くしがたい。    川面一面の穂芒に移ろう夕映えの光と影にも心を動かされ、   その白と赤のコントラスト(対照)も目を楽しませてくれる。かく重川の夕照は   自然の織りなす芸術であり、幻想であろうか。古代の哲学者は、   「万物は水から成る」と言ったが、ふるさとの重川の夕照もまたまさしく   我々のいのちそのものである。

 説明板を眺めている時は、さほどとは思わなかったのですが、
いざ、こうして書き起こしてみると、ちょっと顔が赤くなるところがあります
とくに後半の急上昇には、なかなか追いつけないです。
でも、そうして川とそこに広がる風情を大切にしようとする心持ちは
とても大きくて奥行きが感じられる、そんな説明文でした。

 説明板を見た後、付近を散策中、イタチ君に会いました。
そのようすは、別ブロをご参照ください

070115kamoiderabashijoryu.jpg

 さてこちらは、同じ鴨居寺橋から、こんどは上流を見たところです。
遠くに大菩薩が雪をいただいてそびえています。
この画像では、確認しがたいと思いますが、こちらでも右岸側で盛んに
親水公園をめざした河川工事が行われていました。
もう左岸は、すでに公園化されています。

 それから、もう少し目をこらしてみていただくと、送電線が横断しているのが
分かるかと思いますが、それは東電の日下部線です。 

070115kamoiderabashijoryugomi.jpg

 けっこう川が楽しめたのですが、ちょっとだけ気になったことがあります。
それは、ゴミ・・・。
 以前は、川にゴミを捨てる人が多くて、あっちでもこっちでも川が汚れほうだい、
そんな感じがしていましたが、最近では、相当改善されてきています。
でも、そんな中で、ここではちょっとゴミが多いのが気になりました。
せっかくの「重川の夕照」の説明も台無しになってしまうではありませんか・・・
nice!(0)  コメント(0) 

川に想う 4 [橋と川の文化誌]

061211kasen.jpg

 時々に現れる“川に想う”シリーズですが、
ちなみに前回は、濁川(2006.10.20)でした。

 今回のは、名前は不詳、調査中ですが、のせちゃいます。

 で、どこの川なのでしょうか、何やら人工的ですが・・・

061211chuoushikukauseiri.jpg

 甲府盆地の中央、やや南西寄りに、中央市の「医大南部土地区画整理事業」地があります。
この看板は、事業の概要を説明していますが、
この中で、計画河川が3路川とありますうちの一つなんです、今回のヤツは。
 しばらく流れ下ると、地下をとおり、やがて3路川の内、真ん中で、
一番中核的な「山王川」に合流していきます。

061211kasen03.jpg

 この撮影場所付近では、地下水が豊富らしく、川の両側の垂直に立った擁壁の
下部の方で、たくさんの地下水が流れ出しているのが確認されます。
そのためか、川の水もけっこうきれいに見えます。

061211kasen02.jpg

 しかし、人工的な河川は、周辺に雨が多く降るなどすると、
急激に水かさを増すのだということも、
擁壁に残る過去の泥水の痕跡から、容易に理解されます。

 川をのぞき込んでも、生き物の姿もあまり見られそうになく、
またいたずらっこどもがちょっと下りて、川遊びするというようなものでもありません。
 こうした河川は、人の都合で、ただ、いらない水を流れ下す、
そんなものに成り下がっているようです。

(撮影:2006.12.11 中央市成島の北端にて)
nice!(0)  コメント(0) 
- | 次の10件 橋と川の文化誌 ブログトップ