SSブログ

おおかつ・77 [送電線と鉄塔&発電所・変電所]

091101ookatsu77aa.jpg

 甲州市大和町日陰地区の、秋の景色の中に建つJR大勝線の77号鉄塔です。
大月変電所と勝沼変電所を結ぶJR東日本の6万6千ボルト送電を支えます。

091101ookatsu77a.jpg

 2回線の送電線を懸垂型という形式で支えていますが、
この77号鉄塔の吊り下げのようす、なんか変だと思いませんか。091101ookatsu77b.jpg

 勝沼側から77号鉄塔に正対してみた状況です。
5個の碍子を並列に用いて、送電線の各導体を吊り下げているようす、
向かって左側に流れていますよ。
普通、懸垂型というこうした形式では、まっすぐ下に吊り下がるのですが。

091101ookatsu77c.jpg

 さらに鉄塔の下まで寄って見上げました。
確実に左側に流れています。

091101ookatsu77d.jpg

 今度は、鉄塔の反対側に回り込み、見上げました。
当たり前ですが、先ほどとは反対に、右側に流れています。
でも、なぜ、こうしたことが起こるのでしょうか。

091101ookatsu77e.jpg

 鉄塔の四隅の構造材の1つに付けられていたプレートです。
これによって昭和5年10月に建造された鉄塔だとわかります。
もちろん、このプレート自体は、旧国鉄からJRに変わってから付けられたものですが、
国鉄時代の歴史ある鉄塔だということには、違いありません。

091101ookatsu77f.jpg

 その証拠に、山形鋼材の内側に、官営八幡製鉄所のもの
と思われるマークが確認できましたよ。
つまり、この鉄塔は、昭和5年に建造されて以来、約80年間が経過しているのです。

091101ookatsu78a.jpg

 こちらは、1つ西側(勝沼側)の78号鉄塔です。
こちらも、77号鉄塔と同形の鉄塔ですので、根元まで行って確認はしていませんが、
同様に旧国鉄時代の80年選手です。
送電線の支え方も懸垂型という形式で、77号の場合と同じです。

091101ookatsu76b.jpg

 それからこちらは、77号鉄塔から見た76号鉄塔と、さらに向こうの稜線に
75号鉄塔が見えます。
どうやら75号も76号も、耐張型という形式の送電線の支え方をしているようです。

091101ookatsu76a.jpg

 見る位置を変えて見た76号鉄塔です。
この鉄塔は、どうやら、それまでに見た80年選手と体形が違いますね。
若々しいスタイルをしています。
このとき、時間がなくて(他に目的があって)、じっくりと確認していませんが、
76号鉄塔は明らかに、後になって何らかの理由で、
建て替えられた鉄塔だといえます。

091101ookatsusen06map.gif

 ここまで観察してきた鉄塔群のようすから、77号鉄塔における
懸垂型の送電線吊り下げが、北側に流れている理由を考えましょう。
そのために、マップを用意しました。
 まずJR大勝線の75号から78号までの鉄塔の位置関係を押さえてください。
鉄塔番号の右下にある「k」は懸垂型、「t」は耐張型という、送電線の支え方の
タイプを示しています。
 それで、76号鉄塔は建て替えられたのですが、その際、少し位置が
北側に変わった可能性があります。
送電線は、基本的に電気を流しながら、立て替え工事などを行いますので、
同じ場所で立て替えることは、たいへん困難なことです。
隣に新しい鉄塔を建てて、わずかな時間に片方ずつ送電を止め、
旧い鉄塔から新しい鉄塔に、電線の張り替えをしていきます。
 もちろん、旧い鉄塔の隣に仮設の鉄塔を建て、いったんそちらに移し替えてから、
同じ場所に新しい鉄塔を建てて、この新築の鉄塔に送電線を移し替えす
ということがないこともないようです。でも、・・・。
 同じ場所に同じように建て替えたら、前後にほとんど影響は出ないと思われますが、
そのときの76号鉄塔の建て替えの影響が、77号鉄塔の送電線吊り下げに影響が出たのです。
もともとは、赤い波線のように通っていたものが、すこし76号鉄塔が北寄りに位置を変えたために、
77号鉄塔の腕金から下がる碍子と、それに取り付いた導体が北寄りになってしまったのです。
 お隣が75号鉄塔のように耐張型だったとしたら、そんな影響は残りませんが、
77号鉄塔のように懸垂型の場合、今回のようなことが起こってしまうのですね。
こうしたことは、東電の天竜南線などでも見られる場所がありますよ。

 ちょっとばかりややこしい、でも、最後まで苦しみながら読んでも
大して実のないお話しでありました。すんっません!
書いている内は夢中なんですが、読み返すと、アホか、見たいですね。お許しください。
nice!(0)  コメント(4) 

nice! 0

コメント 4

ryu

エートマンさん♪確かに…横に流れてますねぇ~。
あと、77号鉄塔下の腕金が気になりますネ(~o~)将来用?移設時に使用?
気になりますネ。。。
ps.最近忙しい関係上、コメントが少なくなるかと思いますが、エートマンさんお許し下さい。m(__)m
by ryu (2009-11-15 22:43) 

エートマン

やー、77号鉄塔の一番下の、いまは何も取り付いていない、あの腕金がお目にとまりましたか。いやはや、どうも・・・。
エートマンの想像では、将来用でも移設関係でもなく、過去にある役割をしていた名残ではないかと考えるのですが・・・。ともかく、いずれ尻尾をつかんだら、発表したいと思います(笑)。
それから、コメントのことですが、このブログは、そういうことはあまり気になさらずに、お付き合いくださいませ。
実を申せば、毎日100数十のアクセスがあり、毎日平均500ページくらいのページビューがあるのですが、それに比してコメントはご覧のとおりです。まあ、そんなことでよろしくお願いします。
もちろん、お時間のあるときにでも、気ままにコメントをちょうだいできるとしたら、それはそれで、とてもとてもうれしく思いますデス。きながぁ~にお待ちしてます。
by エートマン (2009-11-16 23:51) 

ryu

JR大勝線77号鉄塔の謎!?楽しみにしています。(^^)/
ps.エートマンさん♪新しい捻架鉄塔を見付けましたヨ!!
場所は、近くマデ行けなかったので、詳しい№が分からないのですが『ぶどうの丘入口』付近の
笛駒線3号鉄塔から北へ6つ目の鉄塔です。(^^)v
by ryu (2009-11-23 18:06) 

エートマン

ryuさん、コメントありがとうございました。
またまた捻架情報ですね。甲州市方面の調査、出かけてみたくなりました。
(が、なかなか時間が、しばらくは無理かも・・・)
by エートマン (2009-11-24 23:31) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。