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山の上のお蔵・完結編 [地域の小さな歴史]

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 龍は、古代の中国の社会に生まれた霊獣で、水中か地中に棲むと。
その啼き声によって雷雲や嵐を呼び、また竜巻となって天空に昇り自在に飛翔する
と考えられていたそうです。
 それがわが国の蛇神を信じる土俗信仰と結びつき、水の神となり、雨乞いの際に
活躍する神となっていったようです(ウィキペディアを参考に・・・)。

 お蔵に「龍」の文字があるのは、耐火性の高い土蔵造りという技術的な裏付けに
精神的なよりどころを持たせた・・・、つまり鬼に金棒というところでしょうか。

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 屋根瓦の中の鬼瓦に「水」の文字が採用されるのも、いったん火事があっても、
「水」に込めた祈りが守ってくれる・・・。

 このお山の上の方にある集落は、川がずっと下位の谷の方を流れ、
水利が確保しにくいのでないか・・・。
いったん、火災が起こると、小さな火も退治しがたく、大火になってしまう・・・。
そんな地域柄があるのではないかしら。
だから、鬼に金棒のような蔵造りに力を入れてきた。

 そういえば・・・。

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 昭和26年に完成の、80余名の賛同・寄附による火の見櫓の存在も、
これまで見てきた中では、かなり早い出現の部類。寄附者の多さも注目されますね。
火の見櫓に寄せる想いが、他よりもずっと強い地域柄ゆえでしょうか。

 そういえば・・・、火の見櫓の向こうに鎮座まします鈴鹿神社は、
よく見ると、何と土蔵造りではありませんか、本殿の覆い屋が。

 この地域に暮らしてこられた人びとは、ある時期、非常に火除け、
ないしは火伏せに強い関心を払ってこられたように受け止められるのです。

 神社にまで蔵造りが採用されているところを見ると、相当に痛い思いをした経験が
そのバックグランドにあるのでは、と推理されます。が、果たして如何に。
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