消えゆく旧富山橋のトラス [川と橋の文化誌]
前もない、後ろもない、旧の富山橋の最後の1径間です。
少し位置を変えて見ています。
向こう側には、新しく、すでに供用されている富山橋があります。
その隣で、この秋まで、4径間分のトラス橋が残っていたのですが、
それが、じゃかじゃか、解体されているのです。
今度は、もっと近寄って、新しい富山橋の上から見ました。
この時は、後から付けられた歩道部分を、河原に引きずりおろしたものを、
大きなはさみを持った重機で、チョキチョキ解体しているところでした。
悪魔の手みたいなので、チョキチョキ、鋼材を切っていく。
悪魔の手を動かす“油圧”の力、スゴイですよ。
でも、ずっと見ていて思ったことは、いちばんスゴイのは、
悪魔の力を作り出したニンゲンの力なんだなぁー、
ということでありました。
解体現場のかたわらには、かつては、かっこいいトラス橋だったことも、
なかなか想像がつかないくらいになった、スクラップの山が出来ていました。
作るのもニンゲンでしたが、壊すのもニンゲンでした。
これから、どんなモノをつくり、それをどう壊していくのか・・・。
ずっと離れたところから見た、あらしいイブキの中で地域を支える力にみなぎる新・富山橋と
わずかに、消えゆく最後の名残をとどめている旧・富山橋の姿をとらえたものを
のせておきたいと思いますが、大きくとらえると何でもないことのようになってしまいます。
でも、じっくりディティールを見ていくと重たい歴史があります。
ほんのささっとですが、消えゆく旧・富山橋のトラスを取り上げ、
簡単な記録をすることで、消えゆくものへの鎮魂歌とします。
ちなみに、橋の名前は、「とみやまはし」です。