SSブログ

ワタシは、わすれない・・・ [地域の小さな歴史]

090809hogenjiato01.jpg

 先日、南部町本郷の原間集落をたずねました。
集落の中の道を歩いていくと、お寺さんらしき光景が見えてきました。

090809hogenjiato02.jpg

 石段を配した参道の両脇に、日蓮宗の関係の石碑が並んでいました。
やはり、日蓮宗の寺院のようです。

090809hogenjiato03.jpg

 参道の左手に見える石垣は、とてもりっぱに見えました。
風格があるというか・・・。

 この記事の主題は、何か忘れては行けないことがある・・・
ということなのですが、それは、すでにこの3点目の写真の中に存在しています。

090809hogenjiato04.jpg

 石段をあがりきると、そこはお寺さんの境内?
しかし、そこにあったのは、地域の集会所でありました。
でも、集会所の裏手には、墓地が見え、集会所の脇には、
墓参のための水くみ桶などが用意されていますので、
本来は、お寺さんだったのでしょう。
いつしか、寺の歴史は途絶え、今のような形になったものと考えられます。

090809hogenjiato05.jpg

 集会所に並んで建てられていた、まだ新しそうな石碑ですが、
これにより、「法眼寺」という日蓮宗の寺院であったとうかがわれます。

 核心はこれから、でもちょと長くなりますが、どうか最後までお付き
合いください。

090809hogenjiato06.jpg

 集会所に背を向ける形で、先ほど見た、石垣の上に当たる部分です。
整然と9つの石塔が並べられていました。
この光景は、ほぼ間違いなく、あれだな・・・、と思いました。
あれ・・・では、たいへん失礼になりますね。
第二次世界大戦の最中、兵士として戦場にかり出され、なくなられた
方々の墓誌ないしは供養碑です。

 今回は、8月ということもあって、丹念にお参りをかねて拝見、
写真を撮らせていただきました。

090809hogenjiato06a.jpg

 征空院さん・・・

090809hogenjiato06b.jpg

 大義院さん・・・

090809hogenjiato06c.jpg

 累徳院さん・・・

090809hogenjiato06d.jpg

 勇猛院さん・・・

090809hogenjiato06e.jpg

 顕忠院さん・・・

090809hogenjiato06f.jpg

 精進院さん・・・

090809hogenjiato06g.jpg

 光海院さん・・・

090809hogenjiato06h.jpg

 正貫院さん・・・

090809hogenjiato06i.jpg

 大東院さん・・・

 以上、神道でお祀りされていれば、9柱なんでしょうけど、
仏式の法名が採用されていました。
それぞれの石塔の側面の記載などから、昭和28年(1953)ごろに
まとめてここに建てられたようです。

 ところで、なぜ昭和28年頃になってでしょうか。
1945年8月15日、わが日本は、ポツダム宣言を受諾し、敗戦が確定
しました。
それからは、連合軍に“占領”され、一時的に日本は、独立国ではない
状態となっていました。
1951年9月8日、サンフランシスコで、講和条約が調印されました。
正式には「日本国との平和条約」というのだそうです。
この条約は、翼1952年4月28日をもって発効し、事実上、わが国は、
独立を回復しました。
形として、日本の復興が始まる、そうした時期に、平和な日本の再生
の礎として、先の大戦で若い命を散らした方々に、あらためて慰霊の
念を現さなくては・・・。察するに、そのような状況ではなかったか
と・・・。

090809hogenjiato07.jpg

 9つの石塔の前には、8月にふさわしい感じの花が咲いていました。

 それにしても、それぞれの方に付けられて、あの世でのお名前、
戦争を肯定し、国民を鼓舞する流れで付けられていることが、ありありです。
仏教界の中にも大政に翼賛していた部分があったのでしょう。

 思うことが、とくに2つあります。
尊い命を散らされた方々は、雲の上から、いまのこの国をご覧になって
どのように思われていらっしゃるのでしょうか。
それから、いまのこの時代、さらにこれから先の時代、ずっと長い目で見たとき、
お一人おひとりに付けられた、これらの石塔に刻されているお名前ですが、
もう少し、安らぎのある自然なものに変えて差し上げる、
そんなことはないものでしょうか。
 ともあれ、8月に限らず、こうしたことに、目を留め、
地域の生の歴史を見つめていきたい、これからも・・・。
そうするなかで、忘れないようにしていきたい。
エート・マンの8月15日に寄せる思いでありました。