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九代将軍の・・・ [いのり・信仰]

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 今日は、雨降りで外の取材もできず、時間がありましたので、
4月26日に笛吹市八代町岡の善国寺で見た石碑の文面の解読作業をしました。
その碑文の趣旨がおそよ理解できたとき、流れていたTV番組で、
偶然にも、その碑文の内容とダブルことが放映されていたので
ちょっとびっくり。
 その番組とは、TBS系列で17:30から放送した報道特集で、
「王国解体? 西武グループ極秘資料明らかに・・・」とかいうものでした。

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 テレビの内容はともかく、ここで取り上げる材料の碑文というのが
こちらです。例によって、文面を示したいと思います。
なお、具体的な「寄進者」の名は伏せておきます。

   石 燈 籠  一 対
               寄進 ○○○○
  コノ石燈籠ハ徳川家ノ菩提寺 東京芝増上寺ノ歴代将
  軍廟前ヘ諸大名カラ納メラレタモノノウチ九代将軍家重
  公(惇信院)ニ献シラレタモノデアル 戦後増上寺ノ境内
  整理ニヨリ西武鉄道ノ所有ニナッテイタモノヲ譲リ受ケコ
  コニ建立シタ 家重公ハ八代将軍吉宗公ノ長男ニシテ延
  享二年(一七四五)父ノ跡ヲ九代将軍トナッタガ幼少
  ヨリ虚弱デアッタタメ宝暦十年(一七六〇)在位十五年ニ
  シテソノ職ヲ子ノ家治公ニ譲リ隠居シタ 翌十一年六月
  五十一歳ヲモッテ歿シタ
     昭和五十一年秋彼岸


 要するに、日蓮宗の東岡山善国寺に信仰を寄せる方が、
元は徳川9代将軍家重(惇信院)の供養のため、諸大名が献納した
芝の増上寺の石燈籠で、第二次大戦後、西武鉄道の所有に移ったものについて、
そのうち2基を、縁あって譲り受けることがあり、
1976年の秋、この寺の門前に寄進したというお話でありました。

 ここでいう「西武鉄道」が母胎となる西武グループが、
戦後に維持困難になった、東京都心部の旧幕府ないしはそれを嗣いだ旧宮家の
不動産を取得して大きくなっていったことが、先ほどのテレビの
報道特集で取り上げていた内容ですが、そうした不動産の一部に
増上寺の旧境内があり、そこにあったおびただしい数の石燈籠などが
西武の手を経て、広範に移出していることは、よく知られていることです。

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 で、こちらの山門に向かって左手の石灯籠。

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 そして右手の石灯籠。

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 こちらは左手の石灯籠の銘文のクローズアップですが、
「武州 増上寺」の文字が読み取れます。

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 さらに回り込むと、「惇信院殿」につづいて「宝暦十一辛巳年」の
印刻銘文が確認できました。

 さて、こうした事柄については、余分なコメントは差し控え、
淡々とそこにある事実のみを見て、あとは合掌するのみです・・・

《参考にしたサイト》
 この記事を書き込むのに、次のウェブ・ページを参考にしました。
   伊藤 友己 『増上寺の石灯籠』