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南都屋根瓦ざんまい(5) [見てきたよ]

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 前回の記事の2つめの画像を再度とりあげました。この画像の左半は前回の記事の
中心テーマの大仏殿回廊についた門の屋根ですが、今回は同じ画像の右半分に注目します。
右半分は大仏殿の建物ですが、上方の大仏殿の大屋根と下層の裳階の屋根とでありますが、
今回の話題は、下の裳階部分の屋根での瓦の話です。

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 その部分をクローズアップしました。
裳階部分の本瓦葺きの屋根の中ほどに、平瓦を並べてのせているのが注目されました。
こうした瓦の設置目的は、大屋根の雨落ち部分に一枚平瓦をのせることで
上から落ちてくる雨垂れの衝撃を緩和することだと思われますが、そうした瓦の名称、
何ていうのかわからないのです。ネットなどで見てみると、いろんな言い方がでてきます。
「雨受け瓦」「雨落ち瓦」「置き瓦」「捨て瓦」などでありました。
ともかく、こうした大仏殿のような上が大きな屋根で、そこで受けた雨が下層の屋根に
落ちていくような場合、落下する雨の力は相当なもののように考えられますので、
ちゃんと対策を施して建物を長持ちさせている、世界的に見て多雨な気候域にある
日本の伝統建築ならではのものと感じ入りました。

南都屋根瓦ざんまい(4) [見てきたよ]

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 あらためて大仏殿の周囲を囲う回廊です。東側回廊の中ほどに門がついていました。
今回はこの回廊の門の屋根瓦を観察です。
切り妻の屋根で、妻入りとなっています。切り妻の屋根の端にそって、降棟が見られます。

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 門に向かって右手の降り棟の先端部を見ました。背後に大仏殿本体が見えています。

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 降棟の先端の鬼瓦の前に、留め蓋瓦が見られます。ちょっと怖くて、ちょっと
ユーモラスな首を持ったスッポンのような飾りのある留め蓋です。

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 妻の部分に並ぶ軒丸瓦ですが、中央の梵字を囲んで「大仏殿回廊」の5つの文字が
配されていました。
大仏殿本体には本体の、回廊には回廊の瓦が焼かれて乗せられていることがわかりました。

南都屋根瓦ざんまい(3) [見てきたよ]

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 奈良・東大寺の大仏殿院の東側から、回廊と回廊越しの大仏殿を見ています。

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 今回は特に大仏殿の屋根を観察です。まずは大棟の端に燦然と輝く鴟尾に注目。
古代の貴人が履いたくつの形に似ているので沓形(くつがた)とも呼ばれるそうです。

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 続いて隅棟です。一の鬼と二の鬼が重なるように見えています。

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 一の鬼瓦の眉間の辺りにクローズアップです。鬼面の眉間には宝珠が表されています。
また目玉の上に表現される眉毛の筋の表現は、単なる筋ではなく、ヘラを細かく使った
押し引きによる施文になっていますが、中世以降の装飾瓦の細工によく見られる技法ですね。

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 一の鬼瓦の先につく隅丸瓦には、一文字ずつを丸で囲んだ「東大寺大仏殿」の6文字が
中心の梵字を囲むように配されています。
 真ん中の梵字は「ア」で、これは一般的には大日如来を意味するものとされていますが、
東大寺の大仏さまは「毘盧遮那仏」、なぜ「ア」なんだろうと考えてしまいました。
調べてみると、大日さまも毘盧遮那さまもサンスクリットでは、ほぼ同じ語
となっているため、ここでは「ア」が毘盧遮那仏を意味していると考えられました。
 ところで真ん中に見える隅丸瓦の背後左手ににゅっと小さな顔が出ていますが、
それって何でしょうね。ちょっとおサルさんに似ている・・・。
おそらくは、大仏殿の構造が大きいため、それに合わせて配置される隅丸瓦と
一の鬼瓦との間に開きがあって、雨仕舞が悪くなるのを防ぐために、留蓋のような
飾り瓦が乗っているのではないかとみられます。

 こうしてじっくり見ると屋根瓦の世界、深いものがありますね。

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 軒平瓦と軒丸瓦の組み合わせによる大仏殿の屋根の軒先ですが、こちらでも
軒丸・軒平ともに「ア」を中央に据え、「東大寺大仏殿」の6文字が配されています。

南都屋根瓦ざんまい(2) [見てきたよ]

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 奈良・東大寺の南大門です。軽快な印象を与えてくれますが、構造がたいへん大きいため
屋根が軽く見えます。門の正面に「大華厳寺」の寺号が掲げられていますが、きっと
とても大きなものなのでしょうね。

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 南大門の大屋根の細部を観察しました。古代建築の屋根の部分名称がよくわからなかった
ので、ちょっとおさらいをしてみました。

南都屋根瓦ざんまい(1) [見てきたよ]

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 前回見た正倉院について、その屋根瓦に焦点を当てて見てみましょう。
まずは東大寺正倉の屋根の軒端を望遠しました。本瓦葺きの軒端の瓦は
軒平瓦と軒丸瓦の
組み合わせです。軒丸瓦には縦に「正倉院」の文字が、また軒平瓦には左から
「東大寺正倉院」の文字が表されています。

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 隅棟の先端を飾る鬼瓦や鳥衾瓦のようすです。
鬼瓦の下側の隅瓦には「東大寺」とあり、鬼瓦の上の鳥衾には「正倉院」の文字が
表されています。

 正倉院の建物は、近くまでよって拝見することは許されませんが、こうして
望遠レンズ(正確に言うとP610の望遠撮影)を通じて、歴史の重みを十分に
堪能することができました。

しょうそういん [見てきたよ]

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 奈良・東大寺の広大な寺域の一角に「正倉院」があります。特別な領域として
塀がめぐらされ、普段は入ることができません。

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 奈良国立博物館で正倉院展が開催される期間中などに限り、一般に公開されます。

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 開かれた門から院内に進むアプローチをまっすぐ進みます。ワクワクしながら・・・。

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 アプローチ突き当りを左手にまわると、見えてきました。正倉院宝庫です。

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 とても天気が良くて、コントラストがきつく、肝心な校倉のようすがわかりません。

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 少し画像を補正してみました。向かって右側、北倉です。
 正倉院というのは、古代において公的な機関の中におかれた保管施設である「正倉」を
塀などで囲みこんだエリアのことで、一般名称でした。
 もともと二つの倉が並ぶものでしたが、官立寺院である東大寺の場合、
並び倉と呼ばれた北倉と南倉はやがて接続され、屋根は一つながりで長屋のように
なっていきました。北倉と南倉の間の閉鎖された空間は中倉となったのです。
 この三つの倉からなる東大寺の正倉は、聖武天皇が亡くなられたのち、
光明皇后が聖武天皇遺愛の品々を東大寺に施入し、もっぱらそうした遺品を納めてきた
ことから、勅封の宝庫となっていったのです。

 毎年、秋に、文化の日を中心に行われる正倉院展は、勅により正倉の封を解き、
風を入れて宝物の保存の全くを期す行事にあわせて、選りすぐりの宝物を何点か
奈良国立博物館で公開しているものなんだそうです。
 正倉院展見たら、こちらの正倉院もあわせ見たいと思って、がんばって見てこれて
とてもよかったです。

67th しょうそういんてん [博物館・展示会]

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 奈良国立博物館の新館を北側から見ています。

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 上の写真ではよくわからないので、もう少し明るく、ちょっとばかり望遠しました。
建物外壁には、このとき開催中の特展を告知する看板が付いておりまして、
その建物一階部分に目を向けると、多くの人の列が見られます。

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 第67回となった正倉院展は、昨9日に閉幕しました。最終的な入場者数は
ネットで調べた限り、まだ公表されていないようですが、20数万人とみられます。
その会期後半に時間を見つけ、20数万人の仲間入りを果たしました。

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 この画面の中央に、当日観覧券の仮設売り場がありまして、午前9時の開館30分ほど前に
窓口でチケットを求めましたが、予想よりスムーズに購入できました。
チケット購入はよかったのですが、その時点ですでに長蛇の列。
しかし、開館時間になると、長蛇の列も吸い込まれるように館内に進むことができました。

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 人ごみをかいくぐって1時間ちょっと、天平の雰囲気に浸った後に館外にでたところで
このように20分待ちの表示が出ていました。
毎年のことですが、たいへんなイベントでありました。

秋の全国火災予防運動はじまる・・・ [消防防災の巻]

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 今日、11月9日から 15日の日曜日まで 秋の全国火災予防運動が実施されます。
昨日、市役所でその啓発用ポスターを見かけました。今年の標語は「無防備な 
心に火災が かくれんぼ」だそうです。
ちなみに、こちらのポスターは一般財団法人)日本防火・危機管理促進協会バージョンの
啓発用ポスターです。
まだ確認してませんが、ほかに全国消防協会バージョンもあるようです。
兎にも角にも「火の用心」です。

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ミュゼ・マルシェ [博物館・展示会]

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 今日、市役所で目にしたポスターの1つで、とてもオシャレなもの。何のポスターかな。
タイトルは「Musee Marche」、どうやらフランス語らしい。意訳をすれば
芸術のプロムナードといったところでしょうか。美術館と文学館が織りなす・・・。
いいなぁと思いつつ開催日を見れば、ああ、無情、行ける状況にはありませんでした。
でも、いい企画ですね。参加した方はさぞかし芸術の秋を堪能されたことでしょう。

再び旧奈良駅舎 [エートマンのお出かけメモ]

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 JR関西本線、今では大和路線の愛称を持つその区間の主要駅である
奈良駅に降り立ちました。その駅前でのスケッチです。
朝の8時過ぎ、急ぎ足で行き交う人の姿を横目に、そうじっくりしてもいられませんでしたが
朝の空気の中で、凛とした建物、いいなぁと思いながら眺めました。
 どうしてこの旧駅舎に惹かれるのでしょう。
それはなんといっても、2002年(平成14年)から進められてきた奈良駅の
連続立体交差事業により、いったんは解体撤去される運命だったものが、
保存を望む声に押され、曳家工法まで採用して こうしてまた新たによみがえった
建物だからであります。
こういうこと、山梨では想像すらできなかった、残念な想いがあるからです。

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 今は、奈良市の総合観光案内所として利用されているそうです。

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 所用が済んで、お昼過ぎ、再び奈良駅前に戻ってきて、再び仰ぎ見ました。

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 宝形づくりの屋根の頂点には、五重塔の上に乗せられているような相輪塔が
付いています。

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 避雷針を兼ねているのでしょうか。水煙に相当する装飾です。
古都奈良の空に、昭和9年の雰囲気を掲げて、現代から未来への指針となっている
そんなふうに感じられました。

 今回のタイトル「再び旧奈良駅舎」としているのは、次の過去記事を踏まえたものだ
という意味であります。今回は、かなり簡略に済ませていることを、ちょっとばかり
丁寧にメモしております。よろしければご参照ください。
[iモード]「奈良でのスケッチ・2題」2008.11.9